ここ和歌山県では、
収穫されたみかんのうち、
ジュースなどに加工される加工用みかんは、
ほぼ10円/kgくらいの相場で取引されています。
産地では長年当たり前の状況ですが、
これって当たり前のことなのでしょうか??
加工用みかんの価値を見直すことは、
農業の業界のあり方を見直すことにも繋がるはず。
『FAIR TRADE JUICE』プロジェクトでは、
加工用柑橘で生搾りジュースを提供し、
地道に皆さんの美味しいと言う声を農家さんに届ける事、そして農家さんの現状を消費者の皆さんに届ける事で、
それぞれの何か気づきになり変化を起こす事が目的です。
FAIR TRADE
フェアトレード(公平貿易)をwikipediaで調べると、
「発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者の生活改善と自立を目指す運動。
貿易における先進国と途上国の公平さをはかり立場の弱い途上国の生産者・労働者により良い取引状況を提供し、彼らの権利を強化することで、持続可能な開発が実現できるよう貢献する。」
とあります。
では、この問題は発展途上国だけで起こっている問題でしょうか?
日本の農業を見て見ると、
基幹的農業従事者は減りに減り続け、年々耕作放棄地が拡大しています。
さらに農業者のうち70歳以上が47%を占め、
60歳以上が約8割の77%を占める現在、
この流れは加速度を増して進むでしょう。
5年後、10年後、このままでは、
1次産業の現場は危機的な状態になるでしょう。
そうです。
国内の農業の現場ですら持続可能が難しく、
フェアトレードでもない場合が多いのです。
フェアトレードとは偽善的な活動ではなく、他人事でもなく、
私たちの未来のために考え育てていくことではないでしょうか?
飽食の現代、私たちにとって食べるという行為は当たり前で、
食べ物、食べ方を選択できるのも当たり前です。
私たちの価値観は、その生活を前提に成り立っています。
このままでは、10年後、20年後、
私たちの当たり前は当たり前でないかもしれません。
日本のマーケットと海外のマーケット
海外のマーケットの写真を見ると、
不揃いで歪な形の果物や野菜が乱雑に積み上げられています。
それに比べ、日本のスーパーなどでは、
形、大きさの整ったそれらがきれいにパッケージされ陳列されています。
私たちのほとんどは、
形の整ったもの、傷などないきれいなものを選び手に取るでしょう。
でも考えてみてください。
自然の恵みである農産物、
私たち人間に個性のある様に、不揃いでそれぞれが当たり前なのです。
現状、日本では不揃いのサイズを丁寧に選果し、
形の悪いもの、傷のあるものを取り除き、
工業製品の様に精度が求められています。
農家さんにとってこれはとてもとても時間、労力、コストがかかり、
さらに多くのロスを作る事になります。
全てにおいて、それほどの精度が必要なのか。
形が整っている事、大きさが揃っている事、一つも傷がない事。
これらはあなたが食べることにおいて、どれほど重要ですか?
和歌山県におけるみかん農家の現状
和歌山県において、農家さんが出荷するみかん。
これらが消費者に届くまでには、大きく以下の二種類に分かれます。
・生鮮品として、スーパー、小売店に並ぶもの
・搾汁され、果汁としてジュースなどの加工品の原料になるもの
生鮮品としてのみかん、
そしてみかんジュース、
どちらも私たちの生活の日常にあるものです。
ところが農家さんが出荷するこの二種類に分けられたみかんの買取価格(相場)には大きすぎる差があります。
生鮮品として出荷されるみかんが平均して約200円/kg(毎年相場により変動)に対して加工用みかんは、10円/kgにも満たない価格で取引されています。
これを250mlの100%みかんジュースに換算すると(みかん1kgに対して500mlの搾汁とする)、ジュースだけの原価は5円で取引されている事になります。
これが、ジュース一杯に対する農家さんの手取りなのです。
もちろん、
一年間一生懸命育てた手間暇とコストがかかっている訳ですから、
加工用みかんだけで考えると完全な赤字です。
つまり私たちが普段口にしているみかんジュースは、
メーカーさんが自ら育てたみかんを原料に使っている6次産業を除き、
ほぼタダ同然の値段で取引されているのが現状なのです。